その39  おのと  07.1.21
                                              目次へ戻る

毎年1月と10月に「おのと」と呼ばれる
お祭りがあります。

1月は春季祝詞大祭、10月は秋季です。
1月は五穀豊穣つまり今年の豊作と
家内安全を願う、いわば今年も事故無く、
そして豊作でありますように、と神に願い。
10月は今年の収穫に感謝する、収穫できたことをを神に報告し、お礼をいうお祭り
です。

今となれば非農家が増え形骸化しつつ
ありますが、絶やすことなく続けられている儀式なのです。
 「おのと」の朝、神主さんは忙しいく働き始めます。
集落の公会堂で準備に取り掛かるのです。
矢竹や榊を用意し、祝詞を上げる準備をしなければ
なりません。

 当番に当たってる人は神棚に上げるご馳走
(山海のもの)を用意したり、神社を掃除し皆が集える
ようにして、定刻を待ちます。
 「おのと」が始まりました。太鼓を打ち、まずは神に下りて来てもらう祝詞を上げます。神主がおもむろに神の名前を呼び、そして今年の豊作、そして家内安全、交通安全をお願いするのです。
 その間、集落の参加者は正座し祝詞を聞きます。次に玉串奉てんです。集落の区長さん、農家組合長さん、から始まり、神社の世話役、重鎮などが玉串を捧げます。最後に神に帰ってもらう祝詞を捧げ、神事は無事終了です。

 その間約30分間、何か神がかりの異様な儀式に思われるかもしれませんが、参加者は全くそのような事は思っていません。それは次の事に気が行ってるのです。

 神社から帰り公会堂で今度は懇親会になります。ようは単なる宴会の始まりなのです。折詰めのご馳走を肴に宴会は延々と続きます。
 昔は今年の豊作などを願うのは当然でしたが、娯楽の無い田舎での冬場のコミュニケーションの場であり、カアチャンに怒られない公然とした昼間からの宴会であったようです。

 今、時代は大きく変わりましたが、飲兵衛のオヤジには楽しい行事のようです。(私もその一人)
 今年は暖冬で雪が無く、また快晴の日和でした。酔っ払い、折詰めを持ちながらプラプラ帰宅する父ちゃん連なのでありました。