その38  賽の神  07.1.14
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毎年、小正月の1月15日になると
賽の神という行事が行われます。
以前は1月15日が祭日だったため、
この日は決まり日だったのですが、
今は祭日が動いたため、15日前後の
休日に行うところが多くなりました。

大きな焚き火で正月飾りや古いお札を
焼き、今年の無病息災を願う、
昔から伝わる田舎の行事です。
 今年も正月の終わりの行事である、賽の神の日になりました。
朝、集落の若い衆が腰に鉈や鋸を持って集まってきます。
まず竹を切り出し、三角に骨組みを作ります。秋に刈り取っておいた
葦を中に詰め、周りを稲ワラで仕上げていきます。きれいな三角錐の
塔が出来上がるのです。

 日中、各家庭では不要になった正月飾りや古いお札などを、その中に
納めて点火の時刻を待ちます。

 日も暮れかけた頃、集落の人々が賽の神に集まり始めます。
祝詞を上げた後、代表者の合図とともに火が付けられます。
するとワラや葦、竹で出来ているため、火は一気に廻り始め、一瞬に
大きな火柱となり燃え盛るのです。

 まさに正月という一年の大きな行事の結びにふさわしいイベントです。
生竹の節が弾ける音と歓声、そして大きな炎でこの行事はクライマックス
を迎えます。

 この炎にあたると一年病気をしないと言われています。また、この火で
スルメを焼いて食べることで今年の安泰を願うのです。
なぜか昔の古臭い行事のようですが、毎年が新しく思える、気が引き
締まる炎なのです。

 パンパンと竹の弾ける音が、正月の終わりを告げているような、
そろそろ春だぞと言っているような、新しいことが始まる予告のようで
なりません。

 当然のことながら、大人はこれを肴に宴会となっていくのです。
そして夜は更け、酔っ払いの帰宅となるのは言うまでもありません。