新潟県新発田市の赤谷という山間集落に、700年前から伝わる「どんつき祭り」という奇祭があります。
毎年2月の第3土曜日に集落の鎮守、赤谷山神社で行なわれる裸押し合い祭りなのです。
夜7時前になると、厄年の男衆がふんどし姿で神社に駆け上ってきます。拝殿を拝んだ後、おもむろに押し合い、もみ合いが始まるのです。初めは社内での押し合いなのですが、気合が掛かるにつれ熱気をおび、体から発する湯気でもうもうとなります。観客から男衆に雪が投げ入れられ、その雪が溶けて湯気となります。
男衆はこんどは外へ出て、雪原で押し合い、もみ合いが始まります。これを数回繰り返して行くうちに、祭りも熱気をおびはじめ、男衆と観客が一体となり、祭りは最高潮に盛り上がっていくのです。
外はもう氷点下の冷え込み、撮影のカメラを持つ手がかじかみます。バッテリーの電圧降下も激しく、カメラが動かなくなる寒さなのです。寒くそしてピンと張りつめた空気の中、ヨイヨイ、ヨイヨイの掛け声と男衆の熱気が闇に響き渡り、夜はふけていくのでした。
赤谷集落は飯豊連峰の麓、古くから飯豊山詣での山岳信仰があったと文献にあります。大人になる儀式として、飯豊連峰に分け入り、飯豊本山神社詣でをしなければ一人前の大人になれなかったのです。そして厄を迎えた男衆は厳冬の時期に裸で押し合い、もみ合い、厄を落とすのかも知れません。
現代においてはまさに奇祭であり、これからも長く続けていってほしいものです。
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