その25  塩引き鮭  05.12.11
                                              目次へ戻る
 新潟県北地方には「塩引き鮭」という鮭を加工する方法があります。
 これは「新巻鮭」とはまったく違う方法で加工するのです。

 内臓を取り出した雄の鮭(雌は使わない)に塩を丁寧に擦り込み、塩漬けします。それを今度は水で洗い寒風に干します。すると鮭のうまみ成分が凝縮され、美味しい塩引き鮭に生まれ変わるのです。

 いわば塩漬けした鮭の日干しなのですが、これが新巻鮭とはまったく違う、美味しさに仕上がるのです。ここで大切なのが日本海の寒風です。やはり吹き付ける寒風に当てないと、うまみが出てきません。

 今、この塩引き鮭作りがピークを迎えています。特に有名なのが村上市でしょう。三面川河口で取れた鮭を加工し軒先に干してる姿を目にすることができます。

 村上の塩引き鮭の特徴は、城下町ゆえに切腹を嫌い、鮭の腹の一部をつなげてあるところです。また鮭を大切にし、育て、稚魚を放流して4年後に帰って来るのを待つ、鮭文化があります。

 塩引き鮭は冬の保存食ですし、正月のおせち料理でもあります。この鮭の切り身をあぶって食べる時期が、新潟県北の本当の冬なのです。

 我が家では近くの浜の漁師さんに頼んで、作ってもらいます。そろそろ「お〜い、できたぞ」と連絡がくるでしょう。

 塩引き鮭を食べる頃は、外は真っ白な世界なのです。今年の出来具合はいかがでしょう?
楽しみです。