この時期になるとつくづく思うのであります。なんと植物の生命力は強いのだろうかと。
農業は毎年毎年同じ事の繰り返しであります。春になれば種を播き、夏の間管理し、秋に収穫する。延々と同じことを何百年、いや何千年と繰り返して来ているはずです。
現在、仕事の形態は大きく変わったでしょう、手作業に変わり農機具が発達し、肥料農薬も近年大幅な進歩がとげられました。また植物の品種も改良され、美味しいもの、多収穫のもの、病気に強いもの、などその時代に合ったものが開発されて来たはずです。また作る田んぼも大きく変わりました。今は大規模経営に即した、機械作業が効率よく出来るよう大区画の田んぼに変わりつつあります。
「米は収穫まで八十八の手がかかるものだ」と言われてきましたが、今はどれほどの手がかかるのでしょう。半分以下になったのは事実です。
しかし、昔も今も変わらないものがあります。
その一つが植物の持つ生命力なのです。米は遠い昔の縄文時代から作られてきた植物です。何千年も前から脈々と作り続けられてきた、いわば日本の歴史と同じ年数を経験してる植物であるのです。
今は品種改良により、コシヒカリが主流ですが、そのDNAの中には数千年の歴史が込められているはずなのです。
そして春になれば、きちんと発芽し、立派な稲へと成長していきます。我々は何気なく見過ごしていることですが、この小さい一粒一粒にはとんでもない歴史と、恐ろしいほどの生命力がみなぎっているはずだと思うのです。
今年もコシヒカリの種籾を発芽させました。ちょこんと出た芽を見ると、なんだか嬉しくなり、頼もしくなり、今年も頼むぞと言いたくなるのです。
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