その5  この時期になると貧乏がわかるのです。

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 米つくり農家にとって2〜3月という月は意外と暇な時期かと思われがちですが、ところがどっこい苦痛な時期であるのです。個人事業者の方はもうお分かりかと思いますが、そうです確定申告の時期なのであります。私ら農家はこの書類作りを深刻書作りと言っているのですわ。

 元来机に向かい電卓片手に計算などという仕事は、最も苦手なそして苦痛な時間の、なにものでもないのであります。そして一年の決算という途方も無い、いつ終わるか知れない、できれば逃げ出したい、足し算引き算が何回やっても合わない、学生の時もっと勉強しておけばよかった、もっと早くやるべきだった、と反省しつつ毎日を送る日々であるのです。

 そして決算を作り終わる頃になると、もう一つ大きな悲しみが毎年訪れるのであります。なぜこんなに経費がかかってるんだ、なぜこんなに利益が少ないんだ、なぜ・・・・・?まあ毎年のことですから、「今年もこんなもんか」と決めつけて、途中であきらめてヤケ酒飲みタイムに変更してしまうのです。

 毎年のことでありますが、この時期になると貧乏のほどが良くわかるのであります。つくずくサラリーマンはいいな、と思う時期なのです。